Icom ID-1 Report
アイコム デジタルトランシーバ ID−1使用レポート
第2回:ID-1を本体単独で使ってみよう
D-STAR規格対応のデジタルトランシーバと言っても,
パソコン等のコンピュータがなければ通信できないと言うことはありません.
まずは,単純な使い方としてID-1をリモートコントローラRC-24と本
体のみで単独で動作させることから始めましょう.パソコンを使ったID-1の制御は
後ほど説明します.
電源の投入
電源を入れるときは,リモートコントローラのオレンジ色の「PWRボ
タン」を押すか,ID-1本体の「POWERボタン」を押します.
パソコンを接続している場合は,パソコン上で動かしたソフトウェ
アからも電源操作ができます.
電源を切る時は同じボタンを長押しします.小型化のため,最近の機器の
電源スイッチはこのパターンが増えていますね.
運用モードの切替
トランシーバの運用モードを切替えるのはディスプレイ下側の
「MODE」ボタンです.このボタンを押すごとにオレンジ色のディスプレイ左下の
モード表示が「FM」→「DV」→「DD」と順に変わるとともに
運用モードが切り替わります.
FMモードの運用
FMモードは1200MHz帯ではおなじみのモードです.
マイクのPTTスイッチを握れば音声がアナログで周波数変調され,
電波として発射されます.
「MODE」ボタンを押してFMモードにしましょう.
ディスプレイ左下のモード表示を「FM」に変えます.
「1200MHz帯は飛ばない」とよく言われますが,実はそんなことは
ないと思います.1200MHz帯以上の周波数の電波は光に近い性質が現われ
てきますので,日陰が日なたと比べてかなり暗いように,影になっ
たところと通信するのは非常に困難です.
つまり,少しでも高いところにアンテナを設置するようにして,見
通し距離を広げるようにしましょう.
コントローラ右側にあるテンキーの「3」ボタン(「LOW」と書いてあります)
を押すとディスプレイ右上に「LOW]の文字が表示され,
送信出力を10Wから1Wに低減することができます.
また,この周波数帯以上の機器では,機器によって発射する周波数の
ずれが多少なりとも発生します.それをカバーしてくれ
るのが「AFC」機能です.コントローラ右側にあるテンキーの「0」ボタン
(「AFC」と書いてあります)を押すだけでAFCが有効になります.
AFC機能が有効のときはディスプレイ右下に「AFC」と表示され,
自動的に受信周波数のずれに追従するようになります.
通常のレピータ(以後デジタルレピータと区別するために
アナログレピータと書きます)を使用する場合も簡単です.
使用したいレピータの周波数に合わせるだけで,周波数シフトやトー
ンの使用も自動的に設定されます.
あとはPTTスイッチを押してお話するだけですね.
FMモードについてはおなじみと思いますので,詳しいことは省略
したいと思います.
DVモードの運用
デジタルモードの最初はDVモード(デジタル音声モード)です.
- まず,「MODE」ボタンを押してDVモードに設定しましょう.ディスプレイ左下の
モード表示を「DV」に変えます.
-
ただし,これですぐに運用できるわけではありません.
デジタル通信なので,コールサインの情報も音声に含めてデジタル
的に送られます.
電源投入時にリモートコントローラRC-24には自局のコールサインが
表示されます.自局のコールサインを設定しないで使うとコールサイ
ンが「*****」のような表示になってしまいます.このような
表示のままでも使用することができますが,デジタル化されたコールサ
インが電波の上に乗らないので,相手にとっては誰が電波を出しているのか
わからないばかりでなく,(後ほど説明しますが)うまく送信や応答が
できなくなります.
この場合には,コールサインを音声で確実に送出する
必要があります.
-
ということで,まずは相手局と自局のコールサインを設
定しましょう.
「CSボタン」(テンキーの1番)を1回押し,コールサイン設定画
面を出します.ディスプレイに「UR」と表示されます.これは
相手局のコールサインを設定する画面です.
- ダイヤルを回すとあらかじめ登録されているコールサインを
呼び出すことができます.「W」(Writeの意味でしょう)の表示
のあるSQLボタンを長押しすると,下側に表示されたコールサインの候補が設定されます.
- もし新しくコールサインを設定する場合には,「E」(Editの
意味でしょう)の表示がある「V/Mボタン」を1回押して相手局のコールサインを変更します.
(★注意★この画像は旧型のもので,現在新型のものを準備中です)
コールサインの編集は画面下側の5つのボタンとダイヤルを使います.
- 「V/Mボタン」:最終的に決定する時に押します(「S」の表示はSetの意味でしょう)
- 「CALL」:編集する文字を1文字だけ左側に移動するときに押します(←の意味でしょう)
- 「MODEボタン」:編集する文字を1文字だけ右側に移動する
ときに押します(→の意味でしょう)
- 「TXinhボタン」:その文字で確定するとき押します.(ダイヤルを回すと文字が変わります)
- 「SQLボタン」:文字と数字,記号の切替えボタンです.入力する文字の種類を
「英文字」,「数字」,「文字」を切替える時に使います.それぞれ,「AB」,「12」,「_/」
で,どの文字の種類が入力されるか表示されます.(「_」は空白の意味です)
相手のコールサインがうまく入力できたら,「V/Mボタン」(Set)
を押してコールサインを確定してください.そして,「SQLボタン」
(Write)を長押しして「ピーピピ」という音がしたら登録終了で
す.20個ほどあらかじめ登録しておけるようです.
コールサインの設定で注意しなければならないことは次のとおりです.
- コールサインには「/2」のような付加的な文字はつけてはいけません.
- URの欄を「CQCQCQ」とすると,不特定呼び出しになります.
(★注意★この画像は旧型のもので,現在新型のものを準備中です)
- 再び「CSボタン」(テンキーの1番)を何回か押すと,
「UR」→「RPT1」→「RPT2」→「MY」→「周波数」の順に
切り替わるので,URと同様に,「MY」に自局のコールサインも設定します.
(後ほど説明しますが,RPT1とRPT2はデジタルレピータを使う時に設定します.
ここでは空白にしておきます)
「MY」で自局のコールサインを設定する時には,ポータブル表示
や複数の機器を区別するための文字を「/」に続いて4文字別途追加す
ることができます.
MYコールサインの編集時に「/」と表示されている「CALL」ボタンを
押すと,追加4文字を入力することができます.入力の方法は,コールサインと同様です.
また,「MY」はあらかじめ5種類設定しておくことができ,ダイヤルで選択することが
できます.
- MYとURに自局と相手局のコールサインが設定ができたら,
早速交信してみましょう.
念のため,相手局のコールサインが設定され
ているかどうかを確認します.
「CSボタン」を押して,URが相手局のコールサインになっ
ていることを確認します.もし違っていたら新たに入力するか,ダイヤルを回して相
手局のコールサインを選択し,「SQLボタン」(Write)を長押し
します.「ピーピピ」という音がしたら設定完了です.
- これで準備は整いました.PTTを押して話しましょう.
送信中は自局のコールサインがディスプレイに表示されます.
- もし,相手局を指定しない呼び出しをしたい(CQを出したい)
場合には,テンキーの「BK(CQ)ボタン」を長押しして下さい.
モード表示の横に「CQ」の小さな文字が表示されるとともに,
相手局のコールサインの設定が「CQCQCQ」になり,不特定局
との交信ができます.
デジタルだと呼ぶ局,呼ばれる局がわかる!
このようにして,デジタルモードでは相手局と自局のコールサイン
を設定して交信しますが,第3者に交信内容が聞かれないわけ
ではありません.
あくまで,送受する音声データの中にコールサイン情報が一緒に送
られるだけです.通常の交信と全く同じで,他の局も聞いているこ
とに注意しなければなりません.
しかしこれを逆にとると,ワッチするだけで誰が誰をコール
しているか,受信履歴をデジタル無線機に記録することができます.
D-STARのデジタル無線機では,コールサインをきちんと設定することにより,
「聞こえたけれど誰だかわからなかった」,「自局を呼んでいるのかどうかわからなかった」
ということがありません.
まず,受信中は誰が電波を発射しているかがディスプレイ下部に「Caller」に続いて表示されるので,
すぐにわかります.
(★注意★この画像は旧型のもので,現在新型のものを準備中です)
もし受信中に見ることができなかったとしても,次の手順で
ID-1内部に記録された受信履歴から「呼出元」と「呼出先」のコールサインを表示
することもできます.
- 「CSボタン」を長押しします.すると,「Receive Callsign」と
表示され,下段に「Caller」に続いて呼出局のコール
サインが表示されます.
- さらに「CSボタン」を短く押すごとに,
「Caller(呼出局)」→「Caller /(呼出局の識別4文字)」→
「Called(相手局)」→「RxRPT1(送り元レピータ局)」→「RxRPT2(送り先レピータ局)」
の順で切り替わります.
これでどの局が電波を発射していたのかがすぐにわかります.
次の例では,呼出先コールサインが「CQCQCQ」なので,
「JQ1YFE/JA1」が呼出局でCQを出していたことがわかります.
(★注意★この画像は旧型のもので,現在新型のものを準備中です)
DDモードの運用
DDモードは,送受信すべきデジタルデータを保存するパソコンが
ないと説明ができないので,後ほど説明するパソコンの設定ができて
からということにします.
まだまだ楽しめるぞID-1
今回はID-1本体とリモートコントローラRC-24のみを使って,本体単
独でFMモードとDVモードを運用する方法について説明しました.
モービル等ではこのような本体単独での利用が多いのではないでしょうか.
この他に,DVモードではデジタルレピータを使った交信ができま
す.デジタルレピータ間はアシスト局によって接続されており,ア
クセスしているデジタルレピータでカバーできないエリアとも中継
により通信が可能です.
さらに,中継の結果デジタルレピータがインターネットに接続していれば,
そこをゲートウェイとして他ゾーンのデジタルレピータへ中継し,
ゾーン外の局とも通信ができます.運用方法は次回以降にしたいと思います.
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2004.03.23.(初版作成)
2004.09.11.(最終更新)
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