Icom ID-1 Report
アイコム デジタルトランシーバ ID−1使用レポート
第6回:DVモードでゾーン外と交信してみよう
これで直接波とレピータを使った通信ができるようになりました.
レピータ間はアシスト局と言う中継局により,最大4台までが1つ
のグループを構成していますが,これをゾーンと呼びます.
ここではデジタル音声モード(DVモード)でゾーンを越える交
信をしてみましょう.
ゾーンを越えるには
MYに自局のコールサイン,URに相手局のコールサインを設定するのは同じです.
違うのは,RPT1に自局がアクセスするレピータ,RPT2に自局の所属するゾーンのゲートウェイ局
を設定します.この時ゲートウェイ局は「JP2YGE G」のように「G」という文字を付けて
インターネット中継するように設定します.
これで他のゾーンにいる局とも交信することができます.
どうしてゾーンを越えられるの?
ゾーンにはインターネットと接続されているゲートウェイ局が1局
存在します.このゲートウェイ局を介して他のゾーンのゲートウェ
イ局と中継できれば,ゾーン間通信が可能です.
この場合の問題点は,ゲートウェイ局が相手局がいるゾーンのゲー
トウェイ局をどうやって探すか,ということです.
そこで出てくるのがインターネット上に存在する管理サーバで
す(管理サーバはJARLが管理する予定です).管理サーバには
「コールサイン」と「ゲートウェイ局」,および「レピータ局」が1セットになって
登録されています.
1200MHz帯 インターネット 10GHz帯 1200MHz帯
自局<-------->ゲートウェイ局<================ゲートウェイ局<------>レピータ局<-------->相手局
JQ1YFE JP2YGE ↑ JP3YHH ↑ JP3YHJ JA3???
↑ ↑
管理サーバが アシスト局による
相手局のゲートウェイ局を 中継が行われる
教えてくれる こともある
ゲートウェイ局が管理サーバに「コールサイン」を尋ねると,
管理サーバはその局が存在するゾーンの「ゲートウェイ局」,そし
て通常アクセスする「レピータ局」を答えてくれます.
すると,ゲートウェイ局は管理サーバから教えてもらった相手局のゲートウェイ局
へインターネット中継を行い相手局のレピータまで届けてくれます.
もちろん,相手のレピータ局が相手ゾーンのゲートウェイ局と異なる場合はをアシスト局が
中継してくれます.
うまくつながらないとき
うまく相手局につながらない時は次のようなメッセージがRC-24または
パソコンのID-1の受信局欄に表示されます.
- 相手局と正常に交信できる場合
- 相手が不在等で応答しない場合
- 「UR?:(RPT1のレピータコールサイン)」と表示されます.
- 中継ができないの場合
- 「RPT?:(RPT1のコールサイン)」と表示されます.
このように中継ができない原因は次の通りです.
- ゲートウェイ局を越えて管理サーバーに登録されていない局を呼んだ場合
- アシスト局間の通信が不調の場合
- ゲートウェイ局が不調のときにゲートウェイ局経由の交信をしようとした場合
- これ以外の表示の場合
ちなみに,MYに設定するコールサインは「JQ1YFE」と「JQ1YFE/2」では異なるものとして扱われるので
注意しましょう.
ゲートウェイ局を使うとさらに交信範囲が広がる
このように,デジタルレピータを使うと,直接電波が届かない局どころか,
インターネット中継で他のゾーンにいる局とも交信することができます.
D-STARのインターネット中継は,この他にDDモードでも可能です.
ゲートウェイ局を使うときの注意
管理サーバはどの端末がどのゾーンのゲートウェイやレピータを使っ
ているかを管理しています.ということは,ゾーンや使っているレ
ピータを移動した時はどうなるでしょう.
実は,管理サーバとゲートウェイは5分に1回,ルーティング情報
を交換しています.つまり,情報を交換していない5分間は,過去
の情報をキャッシュして利用し,5分経過したところで情報が更新
されます.運が悪いと10分近く経路情報が更新されないことにな
ります.もちろんその間はゾーンを越えた交信はできません.
ゾーンやレピータを変えるような移動運用をする時は焦らずしばら
く待ってからアクセスするようにしましょう.
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2004.05.20.(初版作成)
2004.05.21.(最終更新)
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